プラットフォームビジネスは変わることができるか
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AirbnbがSECに書簡
Airbnbは21日、SEC(米証券取引委員会)への書簡で、民泊の部屋の提供者への自社株提供を認めるよう要請した。Airbnbは、書簡の中でこう綴っている。
21世紀型の企業にとって最も成功したと言える状態は、全ての出資者の利益が一致した時です。Airbnbのようなシェアリングエコノミーの企業にとって、それは、従業員や投資家、そして私たちのホストもマーケットを利用しているホストも含んでいます。
マーケットの利用者にも配当を——利用者が出資者にもなるこの発送は、仮想通貨を利用したトークンエコノミーを連想させる。Airbnbが「21世紀型の企業にとって」と強調しているように、利用者から上澄みの利益を掠め取るというプラットフォームビジネスの在り方は、岐路に立たされていると言えるだろう。
「プラットフォーム資本主義」を超えていけるか
利用者を搾取する新たな仕組みとしてプラットフォームビジネスを批判してきたのは、アメリカの経済学者、ニック・スルニチェクだ。スルニチェクは、プラットフォームを所有する企業が利用者から利潤を得る体制を「プラットフォーム資本主義」と名付け、21世紀の資本家は設備などの生産手段ではなく、プラットフォームを所有する者であることを示した。20世紀型の資本主義を乗り越え、新たに登場したこのシステムは、第4次産業革命と非常に親和性の高い機能と思われていた。
二つの新たなシェアリングエコノミー
それに対抗するようにして登場したのが、協同組合型プラットフォームと、「未来のシェアリングエコノミー」型のプラットフォームビジネスだ。協同組合型のプラットフォームは、ヨーロッパやアメリカの一部で実践されていることは、既に本誌でもご紹介してきた。
ヨーロッパのFairBnBはAirbnbのオルタナティブを目指して、地域コミュニティによって運営されている。コロラド州デンバーのタクシー協同組合GreenTaxiは、テクノロジーを活用したプラットフォーム型の協同組合として活動している。ODYSSEYが掲げる「未来のシェアリングエコノミー」は、UberやAirbnbを批判し、分散型=非中央集権型のシェアリングエコノミーの創設を目指す。ブロックチェーン技術を利用することで、“技術的に”システムを変えてしまおうという試みだ。
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上記の二つのオルタナティブは、人々の倫理観と最先端技術という異なる基盤を持っている。Airbnbの今回の決断は、これらの信念や技術を乗り越えていくことができるものなのだろうか。また、SECはこの要請にどう応えるのか、今後の展開を注視したい。

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