競争激化 ofoが仮想通貨導入し、oBikeのOcoinへ追随

投稿日:2019年1月16日 更新日:

シェアサイクル大手のofoが仮想通貨導入へ

進撃のofo。和歌山と北九州に続き、大津に進出

シェアサイクル事業の最大手「ofo(オフォ)」の日本展開を手がけるOFO JAPANは20日、滋賀県大津市でのサービス開始を発表した。4月27日より、大津市内で利用できる。ofoは、既に和歌山市と北九州市でのサービスを開始している。東京と大阪でのサービス開始については、既にソフトバンクC&Sとの提携を結んでいる為、着実に日本での展開を進めていると言えるだろう。

ofoが仮想通貨導入へ

ofoは、世界21カ国で事業を展開しており、利用者数は2億人を超える。中国最強企業のアリババから支援を受けていることでも知られており、同じく北京を拠点としているMobikeと並んでシェアサイクル事業を、延いては中国のシェアリングエコノミーを牽引している。

そんなofoが仮想通貨の導入に向けて動き出していると、サウス・チャイナ・モーニング・ポストが報じている。ofoは北京を拠点とする企業だが、中国国内の仮想通貨事業に対する規制が強化されている為、まずは比較的規制が緩やかなシンガポールでの展開を目指すという。サービスを利用した分だけ仮想通貨(トークン)を受け取れるリワード制度も導入する。利用される仮想通貨は、GSE (Global Sharing Economy)トークン。供給数は100億となっているが、現時点で取引所には上場していない。

ダークホース、oBikeがシェアサイクルにもたらした仮想通貨競争

oBike一強の仮想通貨事業に変化

ただし、シェアサイクル事業での仮想通貨導入は、すでにシンガポール発のoBikeが進めており、ofoは後塵を拝している。oBikeはアプリへの実装や専用ウォレットの開発を進めるなど、シェアサイクル業界での仮想通貨事業はoBikeの独壇場であった。最大手のofoが参入すれば、史上初のシェアリングサービス内での仮想通貨競争が勃発することになる。その人気や期待度は仮想通貨のボリュームや価格で顕著に現れることになるが、同時に、いよいよ現実社会で利用できる「通貨」としての機能が発揮されることになる。

新興Obikeに追随する巨人ofo、取り残されるMobike

先に触れた、利用者が乗った分だけトークンを貰えるリワード制度は、oBikeが仮想通貨の導入を発表した当初から主張されていたアピールポイントであった。そして、oBikeの本拠地であるシンガポールでの仮想通貨事業の開始―。ofoが同じく中国大手のMobikeではなく、ofoとMobikeのシェアサイクル戦争を避けてきた新興であるoBikeを、脅威と捉えた戦略に打って出ていることは明らかである。シェアサイクル事業では世界最大手ながら、仮想通貨事業については出遅れる格好になったMobikeの動向にも注目だ。開業一年足らずで仮想通貨導入に打って出たoBikeが、シェアサイクル業界を前進させる立役者になりそうだ。

 

TRONはシェアサイクル戦争の舞台になるか

TRONを取り巻く緊張関係

ところで、こうしたシェアサイクル業界の動向を注視していると、興味深い繋がりが見えてくる。ofoの創業者であるダイ・ウェイ(戴威)は、個人的に仮想通貨のTRON(トロン)に出資している一方で、oBikeとTRONは正式にパートナーシップを結んでいる。そして、TRONの創業者ジャスティン・サンは、ofoに出資しているアリババグループの総帥ジャック・マーが設立した起業家向けの湖畔大学を卒業したばかり。サンはマーからの招待で同大学に参加しており、両者のつながりは深いと見られている。これまで、oBikeはofoが拠点とする中国本土に進出していない為、oBikeとTRONの提携は、アリババ資本の競合相手とは手を組まない政治的な配慮がなされている見る向きもあった。仮想通貨事業を軸としたofoのシンガポール進出は、こうした均衡状態を破る結果を生むかもしれない。

 

TRONメインネット発表へ

その一方でTRONは、これまでイーサリアムのプラットフォームを基盤とするERC20に準拠していたが、TRONが開発を進めていた独自のパブリック・ブロックチェーンのメインネットへ移行することを発表した。

Obikeが利用するOcoinは、ICO時からTRONのメインネット上で稼働することを発表していた。メインネットが正常に稼働すれば、TRONが様々な暗号トークンのプラットフォームに育っていく可能性もあるだろう。ofoが利用するGSEがどのような展開を見せるのか(そもそも取引所に上場するのか)は不明だが、上記のようなコネクションを考えれば、巨人たちの合流もあり得るだろう。戦いの舞台は、TRONのメインネット上ということになるのだろうか。加速するシェアサイクル競争は、仮想通貨市場をも巻き込んだ熱いレース展開を見せてくれそうだ。

 

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