シェアリングエコノミーが生み出した「ユニコーン」たち

投稿日:2019年1月8日 更新日:

中国経済界を席巻するユニコーン企業

中国におけるシェアリングエコノミーの成長

South China Morning Postは8日、「中国のシェアリングエコノミーが生み出す数十億ドル規模のITユニコーンたち」という見出しで、中国国内で急速に成長するシェアリングエコノミーと、それを担うスタートアップ企業についての特集記事を掲載した。中国国内のシェアリングエコノミー市場は、昨年47パーセントの拡大を達成し、今後5年間に渡って毎年平均30パーセントの成長が見込まれているという。

 

ユニコーン企業の時代

「ユニコーン企業」という言葉をご存知だろうか。主に、評価額が10億ドルを超える非上場のスタートアップ企業を指す言葉で、空想上の生き物であるユニコーンのように貴重な存在であることから、そう名付けられた。昨年米CBインサイツが発表したデータによると、ユニコーン企業は、評価額680億ドルのウーバーを筆頭に世界で216社に及ぶ。2015年のデータでは82社に留まっていたことを考えると、もはやユニコーン企業は、「幻獣のように希少な存在」というよりも、「一角獣のように強力な企業」という意味合いの方が、説得力を持ちそうだ。

 

「シェアリング・ユニコーン」

前述のSouth China Morning Postによると、中国のITユニコーン企業のうち、約半数にあたる31社がシェアリングエコノミーに携わる企業だという。その中でも、国内最大のユニコーンがライドシェアのディディチューシン(滴滴出行・Didi Chuxing)だ。利用数でウーバーを上回り、今年2月にはソフトバンクや日産自動車との提携を発表した。シェアサイクルのOfoとMobikeも、「シェアリング・ユニコーン」の中に名を連ねる。中国国内のシェアサービス利用者数は7億人に及ぶとされ、これは中国の人口の半数にあたる。26パーセントとされる米国でのシェアサービス利用者数を大きく上回る数字だ。シェアリングエコノミーが生んだユニコーン達が、現在の中国経済を牽引しているのだ。

3月7日、ディディチューシンは中国自動車大手のBAICグループとの提携を発表

 

アメリカのユニコーン達

シェアサービス企業がユニコーンの中心に

中国に水を開けられているようにも見える米国だが、前述のように、「最強のユニコーン」の座は米シェアライド企業のウーバーが守っている。アメリカ国内の競争に目を移すと、ユニコーン企業ランキングでウーバーに続くのは、民泊仲介のエアービーアンドビー。こちらもシェアリングエコノミーを代表する企業だ。3位の宇宙開発企業スペースXを抑え、シェアサービス企業がツートップに躍り出ている。

米国2位のユニコーン企業に成長したエアービーアンドビー

 

次代の王者へ

今や世界中の人々の生活とビジネスの双方に根付いたフェイスブックとツイッターも、かつてユニコーン企業として名を馳せた「卒業組」。両社は上場したため現在はユニコーン企業に含まれないが、SNSが現代人にとって手放せないサービスとなったのと同様に、シェアサービスが世界中で定着し、ウーバーやエアービーアンドビーがユニコーン出身企業として巨大企業の仲間入りを果たす日はそう遠くないのかもしれない。

 

 

日本のユニコーンとシェアリングエコノミー

日本のユニコーン

米中の巨頭達に対して、日本に存在するユニコーン企業はメルカリのみ。DMMやラインなどをユニコーン企業と評価する向きもあるが、いずれにしてもシェアサービス企業ではない。シェアリングエコノミーの王者・ウーバーでさえ、民間車両による営業目的の送迎行為は白タク行為にあたるとして、日本への参入は拒まれた。

 

日本でも拡大するシェアリングエコノミー

とはいっても、日本国内でシェアリングエコノミーが居場所を失っているのかというと、そうではない。ウーバーは京都のNPO団体を通して限定的な形でサービスの提供を開始しているし、民泊を推進する住宅宿泊事業関連条例が今年の6月15日に施行される。ラクスルは印刷業界をシェアリングエコノミーに巻き込むという大業をやってのけた。全国で増え続けるシェアハウスも、今や経済的・文化的に重要な役割を担っている。大阪ではシェアサイクルのHUBchariが観光客から人気を集めている。そして何よりも、日本唯一のユニコーン企業であるメルカリは、シェアサイクル事業への進出を決めており、2月27日には、1分4円で利用できる「メルチャリ」の提供が福岡で開始された。メルカリが「シェアリング・ユニコーン」の一社と数えられる日も近いのかもしれない。

福岡でサービスを開始したメルチャリ

福岡でサービスを開始したメルチャリ

シェアの意義とその未来

一方で、規制を緩和すれば天才的なシェアリングエコノミー企業が現れて、ユニコーンが育っていく、それが事実だったとしても、それを目指すことに対した意義はないだろう。シェアリングエコノミーが人々の生活に根付き、協働/協同の中で必要とされるサービスが生み出されていく、この過程にこそ意義があるのではないだろうか。Mobikeは「自転車をシェアすること」で、中国国内の深刻な環境汚染問題への解決策を提示したのだ。今、人々はもう一度、「シェアとは何か」という問いに向き合っている。日本でシェアリング・ユニコーンが誕生する頃には、その問いへの答えが見つかっているのかもしれない。

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