「月歩」とは?

投稿日:2018年10月12日更新日:

「月歩」とは

「月歩」は、思想・社会・テクノロジーの未来について考える二十代の編集者とクリエイターたちが立ち上げた出版プロジェクトです。社会評論社の協力の下、四六判の「月歩双書」シリーズを定期刊行し、ウェブ・リアルの双方で発信を行います。

月歩プロジェクトでは、第一弾として『月歩双書01 プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』を発売します。詳細はこちらから。

 

「月歩双書」シリーズ 創刊の辞

現代社会においては、次々に登場する新たなテクノロジーが、社会のあり方を根底から覆そうとしている。人々の価値観は“所有”から“共有”へ、システムは“中央集権”から“分散”へと移行を続けている。人々が国家や大企業に不信感を募らせるほどに、クリプトアナキズム、デジタルプルードン主義といった思想が、テクノロジーに精通した世界中の技術者たちをつないでいく。

一方で、現代社会の急激な変化たるや、時に“正しさ”の基準を揺るがすほどの速度である。公正さと便利さを天秤にかける間もなく、私たちは日夜、新たなテクノロジー、システム、アイデアの波に晒されつづけている。

そうした時代にあっては、未来社会のあり方について、単に「思いを馳せる」だけでは十分ではない。絶え間ない技術革新の時代に身をおく私たちは、テクノロジーが社会に与える影響について、そして人間の生き方について、時間をかけて思考を巡らせる機会を必要としている。どれだけテクノロジーが進歩しようと、その進歩が持つ意味を解釈し、活用していくのは私たち人間に他ならないのだから。

だが、テクノロジーが与えてくれる未来像に純粋な期待を寄せるには、人々の心は疲れすぎているのかもしれない。未来社会を切り開いていくための具体的な指針となるのは、現実社会でテクノロジーに触れて生きる人々の声と、より良い世界の“可能性”を探求する人々の声だ。そして、その声を単なる聞き心地の良い楽観論としてしまわないためには、一度立ち止まり、思考し、議論を交わす時間と空間が必要である。

「月歩双書」と名付けられたこのシリーズが、その役割を担う。“日進月歩”のテクノロジー社会で、次の一歩を踏み出すための指針となるテーマを扱い、ローカル/グローバルな知見を結集する。テクノロジーと社会思想の間に架け橋をつくり、来たる時代における社会のあり方を提示していく。

ニール・アームストロングが当時最先端のテクノロジーを用いて月に到達し、月面にその最初の一歩を踏み出したように、私たちもまた、テクノロジーの力を得て、未来への一歩を踏み出すことができるはずだ。

大切なことは、向き合うこと、そして、行動を起こしていくことだ。人類史に思考の痕跡を、足跡を残し、「月歩」は新たな時代に向かって次の一歩を踏み出していく。

2019年10月 「月歩」編集部