在日の「僕」は、「在日文化」の風化を語る vol.1

投稿日:2019年1月12日 更新日:

僕は在日韓国人です。

ただ、15年ほど前に日本国籍へ帰化しているので、現在は日本人です。
現在31歳で、世代で言うと、在日3~4世に相当しており、僕の場合は祖父母も日本で生まれているので4世という事になります。
在日中国人、在日ブラジル人など色々なルーツを持った人々が既に多く日本国内で生活を営んでいますが、本記事においては以降、記事中で在日と短縮して記述しますが、在日韓国・朝鮮人を指します。僕は、韓国語を話すことも出

来なければ、ヒアリング、もちろんハングルを書く事も出来ません。
しかし、民族意識のようなものも無いわけでもありません。
在日という出自を、時にネタとして使い、時に皮肉として使っています。
「祖国」や「民族」というものに思いを馳せる時もあるにはあります。良くも悪くも在日という出自に色々なところで強く影響を受けていると思います。

https://twitter.com/47no8_08n/status/1024459236812574720

僕は、大阪市の西淀川区という工場地帯で生まれ育ちました。
通っていた公立小学校のクラス中1/7ほどが在日で、これも西淀川区には戦前~戦後にかけて大きな製鉄会社などがあったため、労働者が多く住んだという理由にあります。
そういう環境もあったのか、僕は生まれてこの方在日という事で、差別されたことがありません。
その後も私立の中高一貫校へ通うのですが、天王寺区(隣がすぐ在日が多く住む生野区)にある学校だった事もあり、
そこでもクラスには何人か在日がいるという環境でした。
そういう在日が珍しいわけではない環境下で自己形成をしてきたのもあるのでしょう、あまり「在日」という事に、後ろめたさのようなものは無く、オープンに自分の出自を話し易く、また在日関して議論しやすい柔軟さも身に付いたと思います。

ネットで言われているような、在日特権なんて生まれてこの方恩恵に預かった事がないですし、白人と日本人とのハーフモデルのような馬鹿げたボーナスポイントをいただけた事もなく、左翼や人権派が言うような「反差別」との闘いをするほどの環境でもなく、またゴリゴリの民族運動をしているような家庭でもありませんでした。

【消え行く在日】

 

在日は現在絶滅危惧種です。

在日は間違いなく、消えて行っています。もう、日本国内において在日韓国・朝鮮人籍の人は48万人まで減ってきています。
毎年1万人近い在日が日本国籍に帰化しているわけですし、高齢者も多いですから、毎年激減して行っているのは間違いありません。
もう4世にまでなると自身の家族の出身地、本名、親族なども知らないなんてことは当たり前で。
自身が在日だという事を知らないという人もいたりします。そして、親が既に在日同士の結婚でない事も普通なっています。当たり前といえば当たり前で、僕の父母世代であれば日本人との結婚なぞ絶対に許さん!というしきたりはかなり強く、実際僕の父や母の兄妹も合計7人いますが、日本人と結婚したのは1人だけです。
この状況と、帰化する在日が増え続け、10年も経てば在日はもう殆どいなくなるだろうと思っています。
また国籍や出自としての減少だけでなく、一部のハードコアな在日を除いて、多くの在日自身が、在日のアイデンティティを消失させています。
ある人は受動的に、ある人は意識的にアイデンティティの消失は進んで行っています。
当たり前ながら、もう半世紀以上日本で生活を営み、韓国や北朝鮮へ帰る選択肢もとっくに捨てているのですから、そうならざるえません。
これは移民の必然であり、同化していくにしたがい多くの民衆史的な事柄や風習が消えていきます。

1世も2世も差別体験や苦労話はそれこそ耳にタコが出来るほど僕ら世代に聞かせてくるのですが、伝えるべき重要な風習や風俗に関しては、「もう昔ではないのだから」と進んで語ろうとしません。
その消え行く情景を3世や4世は幸か不幸か見聞きしているわけです。

今回はその消え行く在日に関して、僕の半径10メートル以内で見聞き体験した在日について何回かのシリーズで書いていきたいと思います。

在日の「僕」、そして風化(2)

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